実施レポート

2010年

8月2日(月) 手づくり楽器の制作と演奏ワークショップその2&アフリカンライブ@葛川森林キャンプ村

場所 葛川森林キャンプ村(滋賀県大津市)

参加者 子ども20人 大人10人

製作楽器 籐カシシ

写真撮影 現代手づくり玩具館ボランティア

手作り楽器の森スタッフ 2人

ボランティアスタッフ 1人

外部講師 3人

共催 現代手づくり玩具館

備考 子どもゆめ基金助成事業

 

▼報告

現代手づくり玩具館との共催で行った。

今回の楽器は、籐を編んでつくるカシシ。いつもの竹スリットドラムではなかった理由は、炎天下のキャンプ場で作業するため、制作時間が1時間半~2時間かかる竹スリットドラムでは、直射日光の身体への負担が懸念されるため、約1時間ほどで完成できるような楽器を急遽開発した。

水に濡らして柔らかくなった籐をみんなで一斉に編んでいく。底となる円形のベニヤ板から縦に伸びた9本の芯線に対して、横に前後に交互に編んでいくので、子どもたちと一緒に「まえ、うしろ、まえ、うしろ、まえ、、、」と言いながら編む。始めてからしばらくは、籐もやわらかくまた芯線がまっすぐ上に伸びているので編みやすいのだが、上に伸びていくに連れ、芯線が内側に向くことから横線が外れやすくなり、籐も堅くなってくるので、多くの子どもたちが苦戦していたようだ。

夜は、キャンプファイヤーを囲んで西アフリカ音楽のライブ。講師にはプロで活動している方に来ていただいた。西アフリカの伝統的な打楽器「ジャンベ」や「ドゥンドゥン」のリズムにあわせて、現地の歌や踊りを楽しんだ。太鼓のリズムにあわせて思い思いにカシシを鳴らすことで音楽に参加したり、踊りのなかにはカシシを鳴らすような振り付けがあったりと、一生懸命作った楽器をうまく取り入れたライブは大変好評だったようだ。

 

カシシ(ウィキペディア)

 

▼課題と改善提案

・カシシを閉じるための処理が子どもには難しいようだ。手づくり楽器の森としてもその方法についてはまだ確立されていないため、最低でも1~2パターンの処理方法を考えるようにしたい。

 

・キャンプファイヤーを囲んでのライブが夕食後で、開始時間が少し遅かったため、眠気により参加できない子どもたちが居た。来年も同様の事業を行なうことを考えているため、時間を夕食前などに設定するなどの工夫が必要だと思う

 

 

7月11日(日) 「竹でつくろう、かなでよう」手づくり楽器の制作と演奏ワークショップその1@現代手づくり玩具館

場所 現代手づくり玩具館(京都府宇治市炭山)

参加者 小学生1人 大人1人

製作楽器 竹スリットドラム

写真撮影 北村忍

手作り楽器の森スタッフ 2人

ボランティアスタッフ2人

外部講師 2人

備考 子どもゆめ基金助成事業

 

▼報告

参加者は2名、大人と小学生1年生ということもあり製作時間にかなりの差ができることが予想されたが、通常電動ドリルを使用して竹に穴をあけるところを、ファイルソーという道具を使ってあえて手動であけたため、ほぼ同じ時間に完成。最初は「ナイフなんか使えへんから、やってー」と言っていた小学生が、マレット2本を製作していくうちにみるみるナイフの使い方をマスターして、出来上がるころにはしっかりとナイフを使いこなしていた。やはり子どもの吸収する力は目を見張るものがある。出来上がったスリットドラムは竹の太さ、厚さ、スリットの入れ方、スリットの幅などいろいろな条件でみんな音が違うが、今回の作品のうちの1つは高い音がとてもきれいに出ていて、音域に幅があり今後の製作の参考になった。今回もやはり集中力が切れてきたところで誤って刃に触ってしまい少し血が出る程度のケガが発生した。引き続き集中力が切れるころに特に注意が必要。

製作後は現代手づくり玩具館村栄喜代子先生の講演をはさみ、スパイシーアートカンパニーのひきたまさんによる音楽ワークショップ。今回はスリットドラム製作の参加者が少なかったため、現代手づくり玩具館スタッフ、手づくり楽器の森スタッフも参加。スリットドラムを使っての自己紹介、質問タイム。2つのグループに分かれてそれぞれ違うリズムを刻んだり、かけあいがあったり、作るのとはまた違う楽しさを体験。最後に初めて見るようないろいろな珍しい楽器を触らせてもらい、スタッフともどもとても楽しい時間を過ごすことができた。

 

▼課題と改善提案

・前回同様作業が長くなってくるとやはり他のことに気が散ってしまうことがあり、のこぎりを使っているときによそ見をしてしまうなど、集中力が切れてしまう部分が見られた。集中力が切れてしまうとどうしてもケガにつながりやすいため、見ている方も集中力が切れてきたなと思ったときにうまく休憩に導くなどの対策が必要。

 

・マレットのスーパーボールがすぐに取れてしまう問題、スーパーボールに刺さる部分の竹の太さをほぼ一定にするとかなり抜けにくくなるようなので、そういうことも製作中に伝えていけるようにする。

 

5月23日(日) 手づくり楽器の制作@明野住宅けやきギャラリー

場所 明野住宅けやきギャラリー(大阪府高槻市)

参加者 小学生3人

製作楽器 竹スリットドラム3個

写真撮影 北村忍

手作り楽器の森スタッフ 5人

 

▼報告

株式会社明野住宅様のご協力で、阪急高槻市駅前の場所を貸していただき、高槻市で初のワークショップが実現。参加者は3人と、比較的コンパクトなワークショップだったが、その分しっかりと子どもに付くことができたのが良かった。ただ、それでもケガは起こるので、ノコギリなどの刃物の使用中は、スタッフも特に集中しなければならない。参加してくれた子どもたちは、普段は「高槻太鼓」という和太鼓チームに所属していて、打楽器遊びはお手の物。お母さんからは、家に帰ってからもずっと遊んでいるとの報告があり、とても嬉しい。

初参加のスタッフも多く「最初は慣れない作業で戸惑っているのが、ひとつの楽器を作るこの短い時間にコツを覚えてぐんぐんと上達していくのを目の前で見るのはドキドキするくらい楽しい」と、楽しんでくれていたようで何より。

 

▼課題と改善提案

スリットを削っていく工程は、子どもが非常に飽きやすい。作業の手伝いや励まし、竹本体を押さえてあげる必要があるため、子ども1人につきスタッフ1人が必要になってくる。

・スーパーボールが外れやすい問題に関しては、グルーガンでスーパーボール上部を補強してみてはどうかと考えた。

・集中力を持続させるため、休憩は各自キリのいいところではなくきっちり時間を決めて全員休ませるのもいいかもしれない。1時間半くらいで一度休憩か。

・今回の負傷者二名について、内一人は削った竹のささくれが指にささったものなので想定内、もう一人はのこぎりの刃に触れてしまったため指を負傷。幸い傷は深くない。ただ、竹を切っているときではなく手を止めて別のことをしようとした時にのこぎりを持ったまま振り返り刃から目を離したため誤って左手の指が刃に触れた。こちらはもう少し防げるかもしれない。実際私は目の前で竹を押さえていたので、切っている間はしっかりと注意して見ていたが、手を止めて竹からのこぎりを抜いていたので油断していた。

・ケガ防止の為、道具の危険性をしっかり認知させるべきだと思う。

・スタッフが充実している場合は、○○君はこの作業を教える、みたいな感じの役割分担があればスムーズ。子供の人数が増えると、1班○人みたいにして、スタッフが1班1人ずつは付くなど。

・参加してくれた子たちには、同じ楽器をもう一度作りに来られるような、修了証みたいなものをあげたいと思った。

・スタッフ内で共有できる、ワークショップマニュアルが欲しい。

 

▼参加者の感想

小学生

・あんな風な楽器が出来るなんてビックリした

・作るところから、めちゃくちゃ楽しくて最後まで楽しかった

 

お母さん

・子どもが自分で作るということが今は殆どないので、すごく良いことだと思います。

・子どもも楽しんで出来たし参加出来て良かったです

・2人ともとても楽しかったと喜んでたし、帰ってきてからも2人でずっと太鼓ごっこをしているので、喜んでいるのが何よりです。

 

お知らせ

2012.10.30 10月13日(土)14日(日)に実施した「つくりまくりキャンプ2012」の映像を実施レポートにアップしました。ぜひご覧ください。

2012.10.6 手づくり楽器の森の活動を紹介する漫画を作りました(作:下中絵里加さん)。ぜひご覧ください。